第5章

水曜の朝、私は幽霊のようにスタジオにふらりと現れた。目は赤く腫れ上がり、手にした木炭鉛筆はただ機械的に、めちゃくちゃな線を紙に描き殴っているだけ。それはもう『夢見る者たち』ではなかった。行き場のない私の内なる混乱と不安そのものだった。

一睡もしていなかった。コミックイベントの運営からのあのメールが、炎のように頭の中で燃え盛っている。返信欄が巨大なブラックホールのように感じられ、私の思考をすべて飲み込んでいく。

集中しろと自分に言い聞かせるが、昨夜聞いた言葉――慈善事業に対する水原真衣の毒のある軽蔑、鏡に向かって不平を言いながら見せた隠そうともしない偽善――が、毒蛇のように私に絡みつ...

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