第6章

それから数日間、私はダチョウのように、仕事という砂の中に深く頭を埋め、三浦享真の正体が暴露されたことでひっくり返ってしまった世界を、必死に締め出そうとしていた。

SNSの通知をすべてブロックし、高橋真佑との『あの二人』についての会話を一切拒否し、ただ狂ったように絵を描き続けた。筆先の伊藤瑠唯までもが私の逃避を察したかのように、白樺市の街を当てもなく彷徨っていた。

でも、それがすべて自己欺瞞であることは、自分でもわかっていた。

時折、トイレから戻る途中、他のアーティストたちのひそひそ話が耳に入ってしまう。

「……本当に別れたのかな?早すぎない?」

「……なんでも、かなり泥沼だ...

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