第7章

漫画コンベンションのホールは、耳をつんざくような騒音と眩い光の洪水で、少し目眩がした。私は『夢見る者たち』に割り当てられた隅のブースの向こうに座り、手のひらの汗は一向に乾かなかった。テーブルに並べた漫画本を、何度も何度も神経質に並べ直す。

どうか、彼に会いませんように。お願い。その望みが笑ってしまうほど薄いことは分かっていたけれど、私は心の中で祈った。

「君の作品は……実に個性的だ」

背後から聞こえた低く、聞き覚えのある声は、周囲の喧騒を切り裂くようにクリアに響いた。

私の体は瞬時に硬直し、その瞬間、血が凍りついたかのようだった。あの声……。それがただの幻覚で、連日の不安が生...

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