第7章

榊原柚葉視点

昨夜の榊原奏とのキスが、まだ唇に残っているようだった。

リビングのソファにごろりと横になり、指先でそっと唇をなぞる。心臓はまだ、不規則なリズムを刻んでいた。

ずっと守ってくれると言ってくれた。その約束は蜜のように甘く、私は馬鹿みたいに頬を緩ませた。

【恋する乙女は一番美しい】

【でも気をつけて】

【嵐の前はいつも一番静かなもの】

コメントシステムの警告に胸が締め付けられたけれど、私は首を振った。考えすぎかもしれない。

午後三時、けたたましいドアベルの音が平穏を打ち破った。

ドアスコープを覗き込み、私は瞬時に凍り付いた。

高遠陽仁!

彼はひ...

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