第122話

リースはバースツールから転げ落ちそうになるほど、激しく首を横に振った。

充血した目は私の手に釘付けで、彼は再びその手を伸ばしてくる。

「やめて!」私は手を引っこめながら、鋭く言った。「私に触らないで」

なんて惨めな姿だろう。

彼は口を開いた――謝るつもりだったのかもしれない――けれど、呂律の回らない口から漏れたのは「き、聞けえぇ……」という言葉だけだった。

私は彼を軽く押した。強くはなかった。

それでも彼は、ずぶ濡れの洗濯物の袋のようにバランスを崩し、スツールから横倒しに床へどさりと落ちた。

「まったくもう」と私は呟いた。

彼は起き上がろうともしない。ただそこに座り込み、背中をバーに預け、脚を...

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