第139話

「あの金は渡した瞬間から君のものだ」アシュトンは言った。「だが、もしそれで気が引けるなら、代わりにスタジオの株の一部を僕にくれてもいい。四十九パーセントではどうだ?」

私は考えた。「わかった」

彼の声が低くなる。「株式譲渡の話をするなら、契約書が必要になる。誰かに手配させよう」

「本格的に会社っぽくやるわけね?いいわ。あなたの法務部を使って」

「そうしよう」

沈黙が落ちた。

私はグラスの側面を伝う水滴が、テーブルクロスに吸い込まれて消えるのを見ていた。

彼は携帯を確かめようともしない。ただ窓の外を見つめ、姿勢は微動だにせず、表情も読み取れなかった。

私は咳払いをした。「それで……マックスウェル...

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