第171話

スタジオに着いたのは九時過ぎだった。

昨夜はほとんど眠れなかった。唇は腫れぼったい気がするし、私はまだ馬鹿みたいに笑っていた。

昨夜の出来事で、彼の中の何かが緩んでしまったらしい。

今朝、私が階下に下りてきて「おはよう」と言う間もなく、アシュトンは私を廊下の壁に押し付け、まるで記録でも更新するかのようにキスをしてきた。

三十分。数えていた。

二十分を過ぎたあたりで、膝から力が抜けた。

二十八分には、一瞬視界がブラックアウトした。

彼の腕の中で気を失いかけたのに、私が突き放すまで彼はやめなかった。

朝食の後、こっそり抜け出そうとした。

ドアのところで捕まって、そこに押し付けられ、さらに十分間、心...

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