第173話

三十分が過ぎた。

足の指はこわばり、鼻水が垂れてくる。

気分はまるで、冷凍トラックの荷台に転がる魚の死骸だ。

毛布を蹴飛ばし、部屋を飛び出した。

「ジェフリー!」

彼が姿を現す。「はい、ローラン夫人」

「アシュトンの部屋を借りるわ。ここで凍え死ぬのはごめんだから」

「かしこまりました、ローラン夫人。ご主人様のシーツとリネン類は今朝すべて交換済みでございます。清潔ですので、どうぞそのままお入りください」

「わかったわ」

彼の寝室の前に立ち、メッセージを送る。

【今夜、あなたの部屋で寝てもいい? 私の部屋、凍えそうなくらい寒くて。壁のどこかから空気が漏れてるみたい】

返信はほぼ即座だ...

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