第186話

思わず身をすくめ、ジャケットをきつく引き寄せた。

なんでこんなに寒いのよ? コートもちゃんと荷物に入れたし、今も着ているのに、それでも凍えそうだ。留守にしたのは六日間で、六ヶ月じゃないのに。

アシュトンが背後からやってきて、ずっしりと重いウールのコートを私の肩にかけてくれた。

ダークグレーの、分厚くて、雪玉くらいなら弾き返せそうなほど暖かいコートだった。

「ここがどれだけ寒くなるか、お前はいつも忘れるんだから」と彼が言った。「車に着くまで、これを着てろ」

私はコートに腕を通した。

ターミナルを一歩出ると、アシュトンは私の手を取り、自分のコートのポケットに突っ込んだ。

彼の手のひらは温かく、指が...

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