第205話

彼の最後のメッセージを読み終える間もなく、スマホが再び震えた。

アシュトン:『今度はちゃんと聞くけど――俺たちのこと、公にしてもいいかな?』

画面に、素っ気なくて冷たい文章が浮かび上がった。

でもなぜか、その文章から彼が伝わってくる――緊張して、何かをこらえて、私がイエスと言うのを待っている彼が。

私はただ座って、それをじっと見つめていた。

一分前まで、私はイベント主催者に文句を言い、ローワン・ヘイルには絶対に近づかないようにと彼に念を押していたのに。

おやすみを言うところだった。

なのに、これ?

彼のメッセージを読み返す。

思考が停止した。

まるで雪の中から帰ってきたばかりのように、手足が重...

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