第231話

「もちろん違う」私は考える間もなく答えた。

イヴェインと、彼女に付きまとうストーカーみたいな男二人がいなければ、そもそもここに来ることもなかっただろう。

それに……私はアシュトンに目をやった。彼は錠前に自分の名前を書き込むという単純な行為に、まるで平和条約に署名でもするかのような、ひどく真剣な面持ちで取り組んでいる。

まだ彼に「愛してる」とは伝えていない。でも、私なんかよりずっと深くて、はっきりしている彼の気持ちが、一方的なものだとか、気づかれていないなんて思ってほしくなかった。

私たちは橋に錠前をかけ、鍵を投げ捨て、顔を見合わせてにやりと笑った。

アシュトンが身を乗り出してくる。

私はキスを...

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