第303話

アシュトンの部下の一人が車から取ってきてくれた着替えを受け取ると、私はパーティー客用に用意されたスイートルームへと向かった。

肌の上で乾いた赤ワインがべたつき、じっとりとして不快だった。

台無しになったドレスをハンドバッグと一緒に椅子に放り投げ、シャワーへと向かう。

数分後、シャワーから出て服を着替え、ハンドバッグを掴んだところで、すぐに何かがおかしいと感じた。

椅子の背にストラップを引っ掛けてぶら下げておいたはずなのに。今は座面にきちんと置かれている。

誰が私のハンドバッグに触ったの?

閉まったままのドアに目をやる。私がシャワーを浴びている間に誰かが入ってきたのだろうか。

中身を確認する。す...

ログインして続きを読む