第308話

「申し訳ございません、こちらが最後の一点になります。当店のデザインには数点しかご用意のないものもございまして、限定品となっております。こちらのブレスレットは、まさしく最後のひとつでして。もしどうしてもお望みでしたら、他の支店からお取り寄せすることも可能です」と、店員が説明した。

「これがいいの」ピンク髪の女が、少し傲慢な口調で言った。

ジュヌヴィエーヴに視線を送ると、彼女はあざけるような表情を返してきた。明らかに、彼女が友人をけしかけたのだろう。

朝食の時から続いていた不機嫌が、さらにどん底まで沈んだ。

もともとブレスレットを買うつもりはなく、ただ見たかっただけだった。でも今となっては、...

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