第32話

もちろん、彼女が私の言葉を信じるはずもなかった。

キャサリンは腕を組んだ。「全部あなたの策略でしょう。抜け出したいなんて言いながら、ことあるごとに彼に執着してる。やっと彼が私に興味を持ってくれたと思ったら、また彼を引き戻そうと画策して」

漫画のキャラクターみたいに、大げさに両手を上げてお手上げ、とでも言いたかった。まるで壁に話しかけているみたいだ。

「キャサリン」私は歯を食いしばって言った。「リスが婚約破棄を拒んでるのは、まだ私に夢中だからじゃない。タブロイドに何て書かれるか怯えてるからよ。母親にノーって言えない、ただの臆病者だから。あなたも同じ。リスやルイザに喧嘩を売るのが怖すぎるから、私に...

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