第333話

しばらく、二人とも無言だった。

「もう遅い。明日はスタジオに行かなきゃ」と私は素っ気なく言った。

アシュトンは眉をひそめた。「まだ本調子じゃないだろ」

「平気よ」と私は言い張った。「今、スタジオの評判があまり良くないの。新しいクライアントなんて滅多に取れないんだから、この人を失いたくない。熱はもう下がったし。ちゃんと一晩眠れば、朝には仕事ができるくらい回復するわ。大丈夫よ」

私は掛け布団に滑り込み、彼に背を向けた。

しばらく長い沈黙があってから、アシュトンはとうとう「わかった」と言った。

翌日、私はアシュトンの車で送るという申し出を断り、一人で職場へ向かった。

昼休みになっても食欲はなかったが...

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