第58話

イヴェインのパーティーを後にしてから、リスとキャサリンは一言も口を利かなかった。

取り繕う気力さえ、どちらにも残っていなかったのだ。

一晩中、屈辱の連続で、二人とも腹の虫が収まらず、それを隠そうともしなかった。

歩道で、リスはコートの前をきつく合わせ、ぶっきらぼうに言った。「ここで待ってろ。車を回してくる」

「わかったわ」キャサリンは呟いた。

彼が角を曲がった途端、花壇から男が飛び出してきて、キャサリンは心臓が止まるほど驚いた。

「キャシー!」少年は押し殺した声で言った。

年は二十歳そこそこで、二回りは大きい警備員の制服を着ている。

彼女はすぐに彼だと気づき、その袖口を掴むと、そのまま茂みの後...

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