第73話

翌朝、私は日の出前に目を覚ました。まるで夜中にこっそり家を抜け出した十代みたいな罪悪感を抱えながら。

昨夜の私の一世一代の芝居に、アシュトンが気づいていないはずがない。だから、朝食の席で彼と向かい合って、さも自分がまともな人間です、みたいな顔をして座っているつもりは毛頭なかった。

だからまあ、こっそり抜け出そうとしたわけ。

靴を手に持ち、バッグを横に揺らしながら、抜き足差し足で階下へ。

ところが――どうだ。

彼はすでにそこにいた。

まるでビジネス界の帝王みたいにソファに腰掛けている。

ニュースを見ながら。

落ち着き払って。

シャツの袖はまくり上げられ、それがさりげない威嚇のようだった。

危うく...

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