第6章

美咲視点

翔太が雅人から私をかばってくれてから、私たちの関係に微かな変化が訪れたことに気づいた。彼は私の気持ちにもっと気を配るようになり、家事まで手伝ってくれるようになった。一方、専門学校での看護の授業は順調だった。全てが好転しているように思えた。

週末の野球場は陽光に満ち、子供たちの笑い声と親たちの声援が響き渡っていた。スタンドから翔太に声援を送りながら、私はこっそりスマホを確認していた。雅人は三十分前に着いているはずだったが、またしてもすっぽかされたのだ。

「お母さん、お父さん来た?」休憩中、翔太が目に期待を滲ませて尋ねてきた。

私は無理に笑顔を作った。「きっと今、向かっ...

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