第12章

あの狭苦しい物置部屋には、もう十分住み慣れた。佐藤レナのような偽善者のように振る舞う気なんてない。正面から向き合うことなど、少しも怖くはなかった!

藤山静香はその話を聞いて、ただ驚くばかりだった。佐藤安奈はいつも強い心の持ち主だと思っていたが、佐藤家での生活環境があまりにもひどかったなんて、酷すぎる。

午後は授業が一時間だけで、あっという間に過ぎた。一日の授業が終わり、佐藤安奈は鞄を背負って急いで教室を出た。ちょうど路傍の屋台が目に入り、パッと目が輝いた。おかゆに焼きそば、お好み焼き、食欲が騒ぎ出す。

以前佐藤家にいた時は、死なない程度に食べさせておけばいいと思われていて、お金も渡して...

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