第14章

佐藤松郎は力が強く、佐藤安奈は振り払おうとしても振り払えなかった。

「佐藤松郎、何をしているの?離して!」彼女の声には強い決意が込められていた。

佐藤松郎の目に侮蔑の色が浮かんだ。

「佐藤安奈、火遊びもいい加減にしろ!スピーチの枠を他人に与えても、自分の妹には与えないなんて、なんて薄情な奴だ!」

佐藤安奈は冷ややかに笑った。

「私が実力で勝ち取った枠よ。スピーチがしたいなら、自分の実力で勝ち取ればいいでしょう」

佐藤松郎は怒りで足を踏み鳴らした。

「お前、死にたいのか!」

佐藤安奈と佐藤松郎は双子で、外見は似ているが、二人の関係は極めて険悪だった。

佐藤松郎の佐藤安奈への嫌...

ログインして続きを読む