第16章

少年が目を覚まし、佐藤安奈にキャンディーを差し出して、小さな声で言った。

「お姉ちゃん、ありがとう」

佐藤安奈は少年の頬をつまんで、優しく言った。

「これからは気をつけてね。男の子は女の子を泣かせちゃダメよ」

少年は頷いた。「わかった!」山田雲も微笑んで、少年の頭を軽く撫でた。

佐藤安奈は学校に戻り、授業に向かった。転科するからには、行動を起こさなければならないと分かっていた。

学校の規定では、転科には医学部の入門試験に加え、現在の学科の試験でも全科目90点以上を取らなければならなかった。

専門科目の勉強に加え、医学部の授業も聴講しなければならず、午後は教室を行ったり来たりで、...

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