第22章

あのドアを出ると、佐藤安奈はほっと息をつき、早坂晋也に向かって言った。

「早坂さん、今日は本当にありがとうございました」

彼女は心から早坂晋也に感謝していた。彼がいなければ、今日の一件はこんなにうまく収まらなかっただろう。警告を与えただけでなく、この問題を解決してくれたのだ。

早坂晋也は真っ直ぐに彼女を見つめ、無表情で尋ねた。

「佐藤家から出たのか?喧嘩でもあったのか?」

佐藤安奈は一瞬戸惑い、苦笑いを浮かべながら答えた。

「私と佐藤家は、もう無関係です」

佐藤家との縁を完全に切ったのだ。

男は目を細め、静かに頷いた。

ふと何かを思い出したように、佐藤安奈はバッグから用意し...

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