第26章

佐藤安奈は涙を流しながら感動していた。叔父の家でしか、本当の家族の温もりを感じることができなかった。

もう佐藤家の人々に取り入ろうとはしまい。彼らの扱い方には我慢ならなかったのだ。

「叔父さん、叔母さん、追い出されたわけじゃないの。自分で決めたの、あの家にはもう居たくないって」

「自分で気付けて良かったわ。あの連中なんて腹の中真っ黒よ。こんな子供いじめが、いい目に遭うはずないわ。出てきて正解よ」晴美は温かい水を二杯注ぎ、一杯を安奈に手渡しながら優しく言った。

温かい水が喉を通って胃に流れ込み、体だけでなく心まで温めてくれた。

久しく忘れていた愛に包まれる感覚が、また戻ってきたようだ...

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