第30章

山田雲は佐藤安奈の疲れた様子に気づき、なるべく彼女をリラックスさせようとした。

「安奈ちゃん、今日はここまでにしておきなよ。明日に備えて少し休んだら?」

安奈は迷わず受け入れた。

「そうですね。どうせ抹茶パウダーもほとんど使い切っちゃいましたし、午後は早く閉められそうだから、私はもう帰ります」

残りの時間は復習に充てようと決めた。お金を稼ぎたい気持ちはあるものの、今は勉強と転科試験の準備が急務だった。ちょうどお昼時で、学校の門前は人の往来が激しかった。門に着いたところで、突然声をかけられた。

「安奈!」

樋口おじさんの声に、安奈は少し驚いた。

「樋口おじさん、どうしてここに?」...

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