第35章

佐藤安奈は図書館で勉強していて、六時を過ぎた頃、ようやく資料を置き、背伸びをして帰る準備を始めた。

しかし、校門を出た瞬間、藤山静香が彼女を引き止め、こっそりとキャンパス内のスイーツ店に連れて行った。

藤山静香は微笑みながら、精巧な小さなケーキを佐藤安奈に差し出した。

「これはあなたのためのものよ。佐藤レナのよりもずっと綺麗だわ」佐藤安奈は心が震え、小さなケーキを握りしめ、感謝と驚きの眼差しを浮かべた。

「ありがとう、静香ちゃん、あなた……」

藤山静香は軽く笑って言った。「佐藤レナが持っているもの、あなた佐藤安奈も持つべきよ!」

佐藤安奈は手の中の小さなケーキを見つめ、目が潤んで...

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