第41章

佐藤安奈は優しい声で言った。

「お爺様、お脈を診させていただいてもよろしいでしょうか?」

早坂長治は少し驚いた様子で、すぐに思い出した。佐藤安奈は医者なのだ。それも、孫の体を治すことができた医者だった。

孫嫁のことを考えるあまり、このことをすっかり忘れていたのだ。

この娘は実は恩人でもある。以前の晋也の体はあのような状態で、目に見えて心を痛めていた。各地の名医を探し回ったが、一向に効果がなかった。

しかし、思いがけず、ここで縁があったのだ。

我に返った早坂長治は、笑顔を取り戻し、何度もうなずいた。

「ああ、いいとも。だが今日は診察料を持ってきていないぞ、若い先生...

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