第43章

佐藤レナは落胆した様子で頭を下げ、カバンから原稿を取り出した。

「あと30分で大会が始まるわ。もう少し見直しておこう」

彼女が原稿を取り出した瞬間、手が震えて、カバンから薬の袋も一緒に落ちてしまった。

上田麗子は音を聞いて下を見ると、薬の袋に「下剤」という文字がかすかに見えた。彼女は心の中で何かを思いつき、佐藤レナの手から薬を取り上げた。

「レナ、これ何?」

佐藤レナは「あ」と小さく声を出し、自分の原稿をめくり続けながら答えた。

「麗子、最近胃腸の調子が良くなくて、この下剤を飲んでるの」

そう言いながら、上田麗子から薬を取り戻そうと手を伸ばした。

しかし上田...

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