第44章

佐藤安奈は声のする方を振り向くと、先ほどあちらに座った二人の和服姿の老人たちが笑みを浮かべて彼女を見つめているのに気づいた。その前の列に座っている数人のスーツ姿の男性たちも振り返って彼女を見ていた。

これは…もしかして、さっき自分が言ったことが全部聞こえていたの?

佐藤安奈がまだ躊躇っていると、老人の一人が尋ねてきた。

「君は今、一口飲んだだけでその水にセンナが入っていると判断できたのかね?」

佐藤安奈はこれで確信した。隣の人たちは全部聞いていたのだ。彼女も隠す必要はないと思った。静香ちゃんの気持ちを考えなければ、さっきの時点で先生に報告していたところだ。

彼女は頷いた...

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