第48章

「ん」早坂晋也は佐藤安奈の声に応えた。

佐藤安奈はもう我慢できず、目が赤くなった。

できることなら、誰だって誰かに守ってもらえる子供でいたい。

でも、彼女には今まで何も恐れなくていいという頼りになる存在など一度もなかった。

早坂兄さんだけが……

今、彼女にも守ってくれる人ができたのだ。

早坂晋也の声は特に大きくはなかったが、上田才一郎の頭を強く一撃したようなものだった。

彼は何か聞き間違えたのだろうか。あの佐藤安奈が早坂社長を「兄さん」と呼んだ?

早坂社長の言う人とはあの佐藤安奈のことなのか?!

さっき入ってきたあの老人こそが佐藤安奈の保護者ではなかった...

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