マイ・ラブ

アダム視点

中へ入る。消毒液の匂いが鼻を突き、圧倒されそうになる。何もかもが明るすぎ、清潔すぎる。人々が俺たちの周りを行き交う。看護師、見舞客、車椅子の男。誰もがせわしなく動き、その姿はぼやけて一つに溶け合っていた。

「すみません」アイヴィーがフロントデスクの女性に息を切らしながら話しかける。「エマーソン・ベケットを探しているんです。一時間ほど前に運ばれてきたはずなんですが」

受付の女性は無表情のまま、何かをコンピューターに打ち込んでいる。「ご家族の方ですか?」

「はい、そうです」アイヴィーが口を開くより先に、俺は思わずそう口走っていた。女性は一瞬ためらったが、やがて頷き、病室の番号を...

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