カップルのギグ

エマーソン視点

アダムが初めて俺のライブに来る。

そして奇妙なことに、自分がそれをどう感じているのか、さっぱり分からないでいた。

今夜一緒に行ってもいいかとアダムが何気なく尋ねてきたときに生まれた、腹の中に重く居座る感情の塊は、あいつが課題を終えるのを待つ三十分の間、少しも解けることはなかった。

その塊の中には、インポスター症候群の帯で巻かれた不安があった。俺が優れたドラマーだという評判は耳にしているはずだし、以前俺の腕前にケチをつけてきたのだって、きっと本気じゃなかっただろう。それでも一瞬、あいつが来られない馬鹿げた言い訳をでっち上げそうになった。

だって、もしライブに来て、あいつ...

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