第16章 今彼女だけがチーム唯一の救世主

高坂檸檬は、琉生兄さんが自分に向ける視線に気づき、眉をひそめた。

その時、南斗兄さんこと高坂南斗から電話がかかってきた。

「檸檬、会場にいるんだろう?」

高坂檸檬の胸に不吉な予感が広がる。否定したかったが、周囲のファンの絶叫が、すでにその問いに答えていた。

「檸檬、俺と北斗兄さんは急に会社で用事ができて、試合に出られなくなった。今日の試合はお前の琉生兄さんにとってすごく大事なんだ。チーム対抗戦に出てやってくれ。お前と琉生兄さんの間にどんな確執があったとしても、困難に直面したら、一致団結して事に当たるべきじゃないか?」

南斗兄さんの言葉を聞いた途端、高坂檸檬の耳から周囲のファンの歓声が...

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