第23章 遅れてきた関心、草より安い

高坂檸檬はそのクマのぬいぐるみを見ていた。決勝戦に出るなんて、承諾した覚えは一度もない。

そうだ、このクマのぬいぐるみは、かつて彼女が気に入っていたブランドのものだった。

スーパービッグベアは限定品で、手に入れるのは簡単ではない。

前の人生で、彼女はようやく手に入れたというのに、相沢湘子がライブ配信でプレゼント企画に使うからと、琉生兄さんに無理やりこのクマを相沢湘子に譲らされたのだ。

結局、このクマはいわゆるファンに贈られたのだが、そのファンは変質者で、クマのぬいぐるみを八つ裂きにして死んだネズミを詰め込み、送り返してきた。

高坂檸檬は、このクマを見ていると、まるで自分の前の人生の悲...

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