第27章 彼女は南斗兄さんの報酬を欲しがらない

高坂檸檬は他校のイケメン、結城宴のことを思い出した。雲雀市からの転校生だ。

帝都のお坊ちゃまで、どうやら元の学校で問題を起こし、ほとぼりを冷ましに来たらしい。

そのお坊ちゃまは普段からかなり派手で、高級車を乗り回し、ブランド品を身につけ、ゲームも好きだった。

前の人生では、相沢湘子が自分に代わって優勝したことで、あのお坊ちゃま、結城宴は相沢湘子に猛アタックをかけ、二人は付き合うことになった。

高坂檸檬はふっと笑い、ラブレターを机の中に無造作に突っ込んだ。一度も開けて見てすらいない。

連絡先のことも口にしなかった。

相沢湘子は嫉妬でたまらないといった様子で言った。「檸檬姉さん、どうし...

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