第67章 遅れてきた償いはまだ役に立つのか?

高坂檸檬はタクシーでマンションに帰り、ソファに腰を下ろすと、袖に血痕がついていることに気づいた。

これは昼間、南斗兄さんを車に乗せるのを手伝ったとき、不注意でつけてしまったものだろう。

彼女が着替えて出てくると、篠崎千謙からメッセージが返ってきていた。【ああ。】

たった一文字。

この男はいつも口数が少なく、言葉を惜しむ。

だが、毒舌で他人をやり込める時は、随分と饒舌になるのだが。

夜、高坂檸檬がライブ配信をしていると、南斗兄さんがひっきりなしにギフトを投げてきた。

高坂檸檬はずっと無視していたが、コメント欄のファンたちは我慢できなくなったようだ。

【このID、レモンちゃんの南斗...

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