第98章 今度こそぶりっ子は百口莫辩

高坂東弥は相沢湘子の憐れな様子を見て、途端に心が揺らいだ。

彼は調査員の方を向いて言った。「湘ちゃんの人柄は俺がよく知ってます。彼女がカンニングなんてするはずがない。それに、この成績じゃカンニングする必要もないでしょう」

相沢湘子は長兄のその言い方に、ぐっと言葉を詰まらせた。

途端に心底不愉快になる。自分の成績が悪いのは、チーム対抗戦のせいで遅れたからではないか。

それでも彼女は感謝に満ちた表情を浮かべた。「お兄様、信じてくださってありがとうございます」

リーダー格の調査員は慣れた様子で言った。「申し訳ありませんが、我々は手順通りに進めさせていただきます。ご協力をお願いします」

先...

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