第107章

神原家の祖母の怒りようを見るに、彼女は本気で風見紬を嫌っているらしい。

なぜか渕上純の胸中には、仄暗い喜びが湧き上がっていた。風見紬がいかに策を弄して自分を陥れようとも、神原家に入るための鍵を握っているのはあの祖母だ。その祖母が風見紬という女を毛嫌いしている以上、彼女が神原家の敷居を跨ぐことなど決して許さないだろう。

風見紬は今、純のことばかりを仮想敵として敵視し、神原家への道を阻む邪魔者だと思い込んでいる。だが、真の障害はあの祖母なのだ。

あの不良娘、本当に頭の配線がどうかしている。

神原文清は飛ばせるだけ車を飛ばし、あるバーへと乗りつけた。受付の人間は神原文清の顔を見るなり慌てて...

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