第123章

いつの間にか、そこには出田竜也の姿があった。しかも、あろうことか女子トイレの中に。渕上純は驚愕に目を見開き、声を荒らげる。

「出田竜也! どうしてここにいるの? ここは女子トイレよ!」

「女子トイレがどうしたっていうんだ? 誰もいないじゃないか。純ちゃん、やっと会えたね……」

出田竜也の視線は、まるで影のように執拗に彼女へと絡みついた。

顎に伸びた無精髭、そして血走った眼球。それを見るだけで、彼がこの期間をどのような状態で過ごしてきたのか、渕上純には容易に想像がついた。

だが、渕上純の中では二人の関係はとうに終わっている。出田竜也のその態度は、彼女にとって重圧以外の何物でもなかった...

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