第71章

親のことを持ち出されると、森田美咲は瞬く間に顔色を蒼白にし、言葉を濁した。

「あたしは……もう成人してるんです。自分のことは自分で決めます。親に報告する必要なんてありません」

「そう? それは法律上の話でしょ。私には関係ないわ。もし私が親御さんに連絡したとしても、別に法を犯すわけじゃない。違う?」

顔色をさらに悪くし、拳を握りしめる森田美咲。だが、その口調は弱々しいものへと変わった。

「これは私たちの問題です。親たちには知られたくない……。それに、要求はシンプルなんです。私と一緒に来て、出田家の人たちにはっきりと言ってほしいんです。自分が彼らの嫁になることは絶対にないって。そうして彼...

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