第90章

男は立ち上がり、薄く笑みを浮かべた。

「外は騒がしすぎる。ここで少し休んでいくといい。座りなよ」

ハンサムな神原文清を目にした瞬間、小林香理はおませな心をときめかせ、瞳をキラキラと輝かせた。

「おじさん、すっごくかっこいい! イケメンすぎるよ!」

そう言うや否や、小林香理は小林海の手を振りほどき、神原文清の元へ一直線に駆け寄ると、その太ももに抱きつき、抱っこをせがんだ。

いくら冷徹な氷山のような男でも、これほど愛らしい子供を前にしては拒めない。神原文清は彼女を抱き上げた。小林香理の小さな手が彼の首に回される。その漆黒の瞳は瞬きするたび、満天の星々よりも眩く輝いていた。

木桶の中に...

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