第95章

神原文清がこれほどまでにやり込められている姿を、渕上純は初めて目にした。やはり、この世で彼を従わせることができるのは、あの実の祖母だけらしい。

宴も終盤に差しかかった頃、学校の高官たちが次々と謝罪に訪れた。山田奥様の孫の学費を一年分免除するという申し出もあったが、山田奥様にとってはその程度の金など取るに足らない。単に神原お婆様の顔を立てて頷いただけだった。

神原お婆様はそれ以上多くを語らず、神原悠の手を引いて会場を後にした。神原文清は一度だけ渕上純に視線を投げ、小林海に軽く会釈をしてから、その背中を追った。

車内では、後部座席に神原文清と神原お婆様が並んで座り、運転席には中村瑞がいた。...

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