第4章

職員室に立ち、私は担任である藤井先生の険しい顔をただ見つめていた。学年一位を取った直後に呼び出され、問答無用で説教とは。あまりの落差に一瞬、状況が飲み込めなかった。

「野々村さん」

藤井先生は、これみよがしにため息をついた。

「君が地方から東京に戻ってきて、この環境に馴染みたいという気持ちは分かる。だが、見栄のために不正行為に手を染めるなど、教育者として断じて容認できん」

「不正行為、ですか?」

私は冷静さを保ったまま、軽く眉を上げる。

「先生は何か、確たる証拠でもお持ちなのでしょうか?」

藤井先生はデスクの引き出しから事務的な封筒を一つ取り出し、私の前へと押し出した。...

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