第7章

私は母の目を見つめる。そこには一点の曇りもない、全幅の信頼が満ちており、私の心は温かいもので満たされた。

ふと、ある考えが脳裏をよぎる。

「お母様、そういえば昨日……中村さんがこそこそと歩奈の部屋に入っていくのを、偶然見てしまったような……」

私はわざと困ったような、ためらいがちな口ぶりで言った。

「多分……何でもないとは思うのですけれど、なんだか少し気になってしまって」

母の眼差しが、即座に剃刀のように鋭くなる。彼女は静かに立ち上がり、有無を言わせぬ声で執事に命じた。

「徹底的に調べさせます!」

十分後、家の使用人たちが全員集められ、母は中村と野々村歩奈の部屋を捜索...

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