第8章

学校に戻ると、空気が一変しているのが肌で分かった。

野々村歩奈は登校してきてはいたが、もはやあの光り輝く学園の女神ではなかった。彼女は寡黙になり、私に向ける視線にはいつも、どす黒い憎しみがこもっていた。彼女の気持ちは理解できる。一夜にして両親の寵愛を失い、社会的地位を剥奪され、さらには彼女が生きていく上で唯一の頼みの綱であった『魅力オーラシステム』までが、機能不全に陥り始めたのだから。

注意深く観察すれば、歩奈の変化は一目瞭然だった。かつては華奢だった体つきも心なしかふっくらし、陶器のようだった肌は往年の輝きを失い、額には小さなニキビまでできている。最も顕著な変化は学業成績で、ジェ...

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