第13章

水原念は多くの人から疑いの目で見られることを我慢できるが、その疑いのせいで医療スタッフが患者の救命活動を妨げられることは絶対に許せなかった。

彼女は急いで前に出て、自分を非難する人々を止め、医療スタッフに田中社長を運び出させようとした。その瞬間、やや急ぎ足だが断固とした声が割り込んできた。

騒然としていたパーティー会場は突然静まり返った。皆が顔を上げると、スーツを着た背筋のまっすぐな若い男性が入り口から入ってくるのが見えた。その顔立ちは非常に整っていた。

この人物は他でもない、田中社長の息子、田中修一だった。

田中修一は大股で水原念の前に歩み寄り、両手を差し出した。「水原さん、ありが...

ログインして続きを読む