第3章

一週間のうちに、私の世界は崩壊した。

拓海と亜美が交際を公にしたからじゃない。それはただ、町の噂好きたちの格好の餌食になっただけのこと。私を本当に打ちのめしたのは、お客さんたちからのキャンセルの電話だった。

最初の一本は丁寧だった。三浦さんが咳払いをして言う。「理奈さん、娘の結婚式のプランニングのことですが……少し延期させていただきたくて。時期が、あまり良くないものですから」

二本目は無遠慮だった。「ごめんね理奈さん、他の人にお願いすることにしたの。色々あったから、分かるでしょ……」

五本目の電話が来る頃には、もう続きを読む必要もなかった。彼女たちが何を考えているかなんて分かっている――夢のウェディングプランを、振られた女に任せたい人なんてどこにいる?まるで失恋は伝染る、とでも言うように。

私は事務所に座り、予約帳の文字が減っていくのを見つめながら、その皮肉におかしくなってしまった。この人たちは、以前は私のデザインを「ロマンチックで、もう一度恋がしたくなる」なんて絶賛していたのに。今ではまるで疫病神かのように私を扱う。

その日の午後、私は中央通りにある喫茶店へ向かった。店に足を踏み入れた瞬間、それまでのおしゃべりがぴたりと止んだ。

突き刺さる視線を無視して、いつものアメリカーノを注文する。待っている間、背後からひそひそ話が聞こえてきた。

「かわいそうに……」

「彼を惹きつけておくには、退屈すぎたのかもね」

「拓海と亜美って、もう何ヶ月も前からデキてたって噂だよ」

一つ一つの言葉が、小さなナイフのように感じられた。私は手のひらに爪を食い込ませる。前の人生では、このひそひそ話に私は完全に打ちのめされ、自分が傷物になったように感じていた。

でも今回は、ただコーヒーを受け取って店を出た。

誰にも説明する義務なんてない。

事務所に戻り、最後に残った仕事――佐藤夫妻の記念パーティーのプランニングに集中しようと試みた。少なくとも、長年連れ添った夫婦なら、私の恋愛事情で仕事をキャンセルしたりはしないだろう。

ドアベルが鳴った。

顔を上げると、見知らぬ男が外に立っていた。黒い髪に、鋼青色の瞳。シンプルなグレーのTシャツとジーンズ姿で、革のノートを手にしている。三十代前半くらいだろうか。地元の人特有の親しみやすさとは違う、どこか世界を観察する者の鋭い注意力のようなものをまとっていた。

「こんにちは」彼は中へ入りながら言った。低く、落ち着いた声だった。「永井賢二です。羽鳥さんがこの町で一番のウェディングプランナーだと聞きました」

私は仕事用の笑顔を無理やり作った。「ありがとうございます。どのようなご用件でしょうか?」

口にしてから初めて、自分の声がいかに消耗しきっているかに気づいた。この一週間で、私はすっかり空っぽにされてしまったのだ。

賢二は私の向かいに座った。彼の視線は真っ直ぐだが、土足で踏み込んでくるような無遠慮さはなく、まるで理解する価値のある何かを吟味しているかのようだった。

「本を書いているんです」と彼は言った。「結婚式についての。羽鳥さんがどんな仕事をしているのか、学びたくて」

作家。この辺りでは珍しい。私は頷き、新しいノートを取り出した。「具体的に、どのようなことに関心が? 手配関係ですか? 予算について? それとも――」

「なぜ人は結婚式を必要とするんでしょうか?」彼は遮った。

私のペンが止まった。一体どういう質問なの?

賢二は私の混乱を見て取ったのか、かすかに微笑んだ。「すみません、変な質問をする癖があるんです。でも、本にとっては重要なことなので」

私はペンを置き、先週燃やした結婚式のプラン――灰になった美しい夢の数々を思った。

「それは……人々が約束を交わす瞬間を必要としているから、だと思います」私はゆっくりと言った。「これから何が起ころうと、二人で立ち向かうという約束を」

「その約束が破られるとしても?」彼の瞳は、全てを見透かすようだった。

その質問は、一番痛いところを突いてきた。私はなんとか苦笑いを浮かべる。「だからこそ、その瞬間が大切なんです。少なくともその時だけは、本物だから」

少なくともその瞬間だけは、誰もが永遠を信じている。

賢二は長い間、私をじっと見つめていた。やがて彼は言った。「羽鳥さん自身の結婚式も、取りやめになったんですね?」

全身の筋肉が硬直した。氷水のような疑念が全身を駆け巡る。「小さな町は噂話が大好きですから」

「噂話をしているわけじゃありません」賢二は首を振り、その表情は真摯だった。「羽鳥さんは……何かを学んだ人の顔をしています。それも、辛い経験を通してしか学べないような、何かを」

彼の言葉は、不意に胸を殴られたような衝撃だった。そんなことを言われたのは初めてだった。誰もが私を同情するか、責めるか、面白い見世物として扱うかだったのに。この見知らぬ男だけが、私の痛みが何かを教えてくれたのだと見てくれた。

私は込み上げる涙をこらえ、固唾を飲んだ。「それで、その本のために、具体的に何が必要なんですか?」

賢二はノートを開いた。「結婚式を一つ、デザインしてほしいんです。調査のためだけの、完全なプランを。予算は問いませんし、締め切りもありません」

私は彼を凝視した。破局以来、初めてのまともな仕事――しかも大きな。

「どうして、私なんですか?」思わず声が出た。「町の誰もが言っているのに――」

「周りが何と言おうと、気にしません」賢二はきっぱりとした声で遮った。「羽鳥さんの仕事を見ていますから。藤本さんの結婚記念日も、三浦さんの婚約パーティーも。羽鳥さんのデザインには心を込めています。ただ綺麗なものを寄せ集めただけではありません」

私の中で何かがぷつりと切れそうになった。

この一週間、誰もが私のことを見限っていた。クライアントは去り、町は噂し、父でさえ「大げさに考えすぎだ」と言った。会ったばかりのこの見知らぬ人だけが、私の価値を認めてくれた。

「分かりました」私は声が震えないように努めた。「そのお仕事、お受けします」

賢二は微笑んだ――さりげないけれど、どこか陽だまりのような笑顔だった。

その晩、私たちはファミレスで詳細を話し合うために会った。私はポートフォリオを、賢二はノートを持参し、窓際のテーブルに陣取った。

「完璧な結婚式とは、どんなものでしょう?」賢二はペンを構えて尋ねた。

私は考えた。「完璧なものなんてありません。でも、もし一つ選ぶなら……新郎新婦がお互いを見つめ、その瞬間、他の何も存在しなくなる時、でしょうか」

賢二は書く手を止め、顔を上げた。「それが、羽鳥さんの望んだものだったんですか?」

ええ。かつては。

私が答えるより先に、ファミレスのドアが開いた。拓海の大きな声が聞こえ、続いて亜美の甲高い笑い声が響いた。

私の全身が、こわばった。

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