第2章
美奈と清水美由紀は熱心に挨拶を交わした。五条と篠原の両家の父親たちも友好的に握手を交わす。こんな物欲が渦巻く時代に、子供たちを通じて結ばれた純粋な友情は、まさに奇跡のようなものだ。だからこそ、両家の大人たちはこの関係を大切にしていた。
「孝一、月ちゃんを呼んできて」
母親の言葉に、五条孝一は不満そうな顔をしながらも、仕方なく篠原月の部屋へ向かった。幼い頃からお互いの家を行き来していた二人は、相手の家の構造をよく知っていた。五条孝一は迷うことなく篠原月の部屋へと向かった。
ドアノブを回し、目に飛び込んできたのは、なんとも艶やかな光景だった。
半開きのカーテンが陽光を遮り、唯一差し込む光がカーテンの揺れに合わせて少女の滑らかな背中を照らしていた。細やかな肌には一切の欠点がなく、微細な産毛が陽光に輝いていた。
篠原月は外の音に気づき、驚いた表情で胸を抱えた。金色の瞳に五条孝一の顔が映り込むと、瞬く間に頬が赤く染まった。
「うん、背中の肌はなかなか綺麗だね、そのまま保って」
五条孝一は無表情で、曖昧な褒め言葉を口にした。
「出て行け!」
リビングにいた五条夫妻と篠原月の両親は、その鋭い叫び声に思わず笑いを漏らした。
五条父は戻ってきた息子を見てからかうように言った。「おい、孝一、お前まさか見ちゃいけないものを見たんじゃないだろうな?男としての責任を取らなきゃならないぞ!」
五条孝一は冷静に答えた。「どんな責任?」
五条父は言った。「お前、女の子の体を見たんだぞ!責任を取らなきゃならないだろう?」
五条孝一は考えるふりをしながら、内心では反論の言葉を用意していた。「それを言うなら、六歳の時に裸で海沿いを走り回ってた時から見てるよ」
私は部屋から出てきたばかりで、五条孝一の返答を聞いて、どうしていいかわからないほどの恥ずかしさに襲われた。宴会が解散して、五条家が帰ることを切に願ったが、そんな願いが叶うはずもなく、さらに重い苦痛が訪れる前に、この小さな家はまだ笑い声で満ちていた。
話題の中心は「約束」についてだった。
私の父がその話題を避けようとする中、美奈は絶えずその話を持ち出し、独特の鋭い声で叫び続けた。彼女は長い話の前に必ずこう言った。
「まず一つ言っておく!私は酔ってない!」
「次に言いたいのはその約束だ!美由紀、篠原を止めて!彼をその椅子にしっかりと座らせて!」
酒が進む中、清水美由紀は立ち上がろうとする夫を押さえつけた。
「美奈の言う通りよ!これは私たちの約束」
美奈は酒にむせながら、断続的に言った。「美由紀、この約束を認める?」
「もちろん!」清水美由紀は答えた。
「よし!じゃあ言うわよ、二人の子供が卒業したら、うちの孝一と月ちゃんは結婚するのよ!異議はある?」
「全力で支持するわ」
母の「裏切り」に私は耳を貸さなかった。この親友同士の「約束」は、私の父によって何度も阻まれてきたが、今は五条父の酒の勢いに押されて、彼は対応に追われていた。私のためにこの無理な結婚問題を避ける余裕もなかった。
未来、結婚、誰が知っているだろう?
私は母たちが私と五条孝一の未来について語るのに慣れていた。テレビを見ていると、隣に座る五条孝一の体が緊張しているのを感じた。彼の手の青筋が浮き出ていた。
彼が極度の怒りにあるときの表れだと知っていた。
私は軽く彼の肩を叩いたが、彼は肩をすくめて私の手を払いのけた。彼の全身から拒絶の気配が漂い、私は大きなショックを受けた。
その後に訪れたのは、比類なき失望だった。
年上たちの酒宴は最高潮に達していた。
五条父は二人の子供の大学生活について大声で語り、彼の言葉はまるで拒絶できない命令のようだった。
「孝一!これで決まりだ。お前と月ちゃんは一緒にK大を受けて、卒業したら結婚するんだ!私たち両家で家と車を買ってやるから、早く子供を産んで美奈に育てさせるんだ」
その時、清水美由紀が急いで言った。「私もいるわよ?」
五条父は付け加えた。「そうだ、二人産むんだ!美奈と美由紀が一人ずつ育てるんだ!孝一、聞いてるか?」
しばらくして、蚊の鳴くような声が聞こえた。
年上たちは聞き取れなかったが、その言葉は五条孝一の隣に座る私の耳にしっかりと届いた。
「それで?全部終わったら、俺は心から死んでもいいってことだよな?」
その陰鬱な声に、私は恐怖を感じた。それが五条孝一の口から出たものかどうか、確信が持てなかった。
「孝一、何をブツブツ言ってるんだ?意見があるなら大声で言え、月ちゃんの方が声が大きいぞ!」五条父は酒に酔って、言葉が軽くなっていた。
五条孝一の大きな影が私の視界を遮り、彼が立ち上がると、私はようやく彼の目を見つけた。深い青の瞳は氷のようで、その中に炎が燃えていた。冷たさと怒りが同時に感じられ、これが彼の独特の特質であり、後に誰も私に同じ感覚を与えることはなかった。
「それで?全部終わったら、俺は心から死んでもいいってことだよな?」
今度の言葉は先ほどのつぶやきよりも大きな声で、五条父はその意味を理解したが、信じられない様子だった。
「何を言ってるんだ?もう一度言ってみろ」
五条父は眉をひそめて低く問いかけた。五条孝一はこんな状況で父に逆らったことはなかった。
「知ってるよ、あなたたちは俺の冷静な表現を重視したことがない」
「あなたたちは待っているんだろう?俺がもう耐えられなくなって怒鳴る日を待っているんだ。その日が来たんだ」
静かな部屋に虎のような咆哮が響き渡った。
「それで?全部終わったら、俺は心から死んでもいいってことだよな?」
























































