第51章

「どこに行ってたの?なんでそんなに怒ってるの?誰かに何かされたの?」洗面所の前で司兄さんに出くわした。彼は私の腕を捕まえて尋ねてきた。

「狂犬に噛まれたのよ」私は鼻にしわを寄せて、腹立たしげに兄さんに愚痴をこぼした。

兄さんの瞳の色が一瞬暗くなり、目が私の体を上から下まで舐めるように見た。「あいつ、何かしたのか?」

私は首を横に振った。

いじめられたわけじゃない、ただあの言い方が腹立たしいだけ。恩知らずで薄情なやつ。

彼女が浮気したのは自業自得だ、ふん。

「じゃあ、これは……」

私は足を上げて壁を蹴り、むっとして言った。「あいつ、恩知らずなの」

司兄さんは目玉をくるくると回し...

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