第53章

部屋に戻ったのは夜の9時、まだ余韻に浸っていた。

ホテルの床から天井まである窓の前に立ち、外の灯りの海と空に時折打ち上がる華やかな花火を眺めながら、心は不思議なほど穏やかだった。

突然ビデオ通話の着信音が鳴った。誰からかなんて考えるまでもない、間違いなく司兄さんだ。

画面に映る司兄さんは自分の部屋でくつろいでいたが、どことなく不機嫌そうだった。ベッドに横たわり、片手を頭の下に敷き、もう片方の手で携帯を持ちながら私と話している。

兄さんは新年の挨拶をして、私に新年の願い事は何かと尋ねてきた。私は、みんながいつも楽しく過ごせますように、ライブコンサートに行きたい、兄さんがますますかっこよ...

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