第10章

 私の体は枯れ木のように衰え、鎮痛剤の量は増える一方だった。

 昏睡から目覚めるたび、枕元には白い桔梗の花束が活けられていた。

 篠原悠二だ。私に対して何もできない無力感から、せめて花でもと運んでくるのだろう。

 私は彼のやつれ果てた顔を見つめ、古びた家具を品定めするように言った。

「ちょっとブサイクになったわね」

 篠原悠二の手が止まり、慌てて顔を触った。

「どこが? すぐ整えてくる!」

「いいわよ。十八歳と二十八歳じゃ違うもの。もう戻れないわ」

 病室の空気が凍りついた。篠原悠二は石像のように固まった。

 点滴を刺していた白川看護師の手が止まり、鼻をすする音がした。

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